私を変えた一週間 ―対話と自己理解の記録― 第2回:全部話しても、いいのかもしれない

自分を知る

▶ シリーズ:私を変えた一週間 ―対話と自己理解の記録―

不登校、引きこもり、迷いの中にいた私が、一週間のキャンプで得た“変化のきっかけ”を綴ります。

ワークキャンプの初日の夜。

30人ほどの参加者が集まり、最初に行われたのは「自己紹介タイム」でした。

とはいえ、よくある形式的なものではなく、テーマは——

「なぜ、あなたはこのワークキャンプに参加したのか?」

参加者は、座った順番で順に話していきました。

最初のうちは「大学のサークルで悩んで…」「ちょっと気分転換に来てみました」など、わりと当たり障りのない“無難な自己紹介”が続いていました。


でも、何人かは全然ちがった

中盤になって、雰囲気がガラッと変わりました。

過去にもこのキャンプに参加したことがある“常連メンバー”が話し始めたのです。その内容はとても深く、正直なものでした。

「高校で不登校になって…」
「仕事のストレスで休職して…」
「生きてる意味がわからなくなってしまって…」

誰もが、自分の過去や心の奥にある感情を、静かに、でもはっきりと語っていました。

そして何より驚いたのは、それを聞いている周囲の反応。

誰も否定しない。驚かない。変な顔もしない。

ただ、当たり前のように「うん」と頷きながら、最後まで話を聞いているのです。


「ここなら、全部話してもいいのかもしれない」

その光景を見て、私は強く思いました。

「この場所なら、全部話しても大丈夫かもしれない」

ずっと誰にも言えなかったこと、話したくても言葉にできなかったこと。ここでなら、話しても受け止めてもらえるかもしれない。

そう思ったとき、怖さと安心が一緒にやってきました。


そして、私の順番が来た

私は、できる限りの正直さで、自分のことを話しました。

・現在引きこもりをしていて、学校へ行けていないこと
・発達障害と精神疾患を抱えていること
・ずっと“優等生”として生きてきたけど、人との関わりがとにかく苦しかったこと
・それなのに、漫画やアニメの「仲間」や「友情」にものすごく惹かれていること

このときの私は、それを“ただ好きな作品”だと思っていました。

「この漫画、面白いな」「こういう関係性にグッとくるな」——ただそれだけの感覚だったのです。

※この「好き」に秘められた意味を、後日ある人との対話を通して深く考えることになります。

それは、私の自己理解を大きく進めてくれるものでした。(このお話は、次回お届けします。)


ただ、聞いてくれた。それだけなのに

自己紹介のあと、会場は少し静かになって、誰かが拍手してくれました。

その拍手が広がって、あたたかな空気に包まれました。

誰も否定しない。何も詮索しない。ただ、「聞いてくれた」。

それだけなのに、私は心がとても軽くなっていることに気づきました。

「話してよかった」
「ここに来てよかった」

少しだけ、自分を肯定してもいいかもしれない。そんな気持ちが、初めて芽生えた瞬間でした。


本音で話せる場が、こんなにも力を持っているなんて

この体験は、私にとって最初の「小さな変化」でした。

“安全な場所”で、“本音を話してもいい”と実感できたこと。

それが、これから始まる一週間のすべての土台になったように思います。

言葉にすることで、自分でも気づいていなかった「本当の自分」が顔を出す。

それは、とてもあたたかくて、静かで、大切な体験でした。


次回予告

第3回:言葉にすると、自分が見えてきた

——キャンプ中に何度も設けられた“1対1の対話の時間”。

そのひとつひとつが、私の考えを整理し、自分を深く知る手助けになっていきました。

そして「友情」への憧れに隠れていた、私の本音にも気づくことになります。


▶ シリーズ:私を変えた一週間 ―対話と自己理解の記録―

不登校、引きこもり、迷いの中にいた私が、一週間のキャンプで得た“変化のきっかけ”を綴ります。

📩 コメント・質問歓迎

記事の内容に関するご感想や、「こんなことが知りたい」というリクエストがあれば、ぜひお気軽にコメントしてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました