“できない”前提で身につける、人と関わる技術 第1回:傾聴と共感って、結局なに?

コミュ力UP

「傾聴と共感って、よく聞くけど実際どういう意味?」

発達障害のある私にとって、このテーマは避けて通れないものでした。

看護学部で学び、看護師として働く中で「人の話を聞く力」「気持ちに寄り添う姿勢」は必須スキル。でも私は明らかに苦手でした。

それでも、どうにか“それっぽく振る舞う方法”を試行錯誤しながら、今では人間関係のストレスがかなり軽くなっています。

今回はそんな「傾聴と共感の基本」について、発達障害の視点からお話しします。


「傾聴」とは?

まず「傾聴」という言葉、聞いたことはあっても、意味をしっかり説明できる人は少ないかもしれません。

簡単に言うと、

相手の話に耳を傾け、否定せず、受け止めようとする姿勢

のことです。

  • 話を途中で遮らない
  • 相手が話し終わるまで待つ
  • あいづちを打ちながら、真剣に聞く

このような「聞く姿勢」が、傾聴には含まれます。

相手の話を最後まで聞いてもらえると、「ちゃんと話せた」「受け止めてもらえた」と感じやすくなります。それが信頼関係の第一歩になります。


「共感」とは?

「共感」もよく使われる言葉ですが、これもややあいまいです。

よくある誤解は、「同じ気持ちになること」だと思ってしまうこと。でも、実際にはそれよりもっと広い意味があります。

相手の気持ちや立場を想像し、寄り添おうとすること

が、共感です。

完全に理解できなくても、「この人はこう感じているのかも」と想像し、そこに気持ちを寄せること。つまり、

  • 「つらかったんだね」
  • 「そう感じたの、分かるよ」

といった“寄り添いの言葉”や表情・声のトーンなども、共感を伝える手段になります。


傾聴・共感がなぜ重要なのか?

なぜ、こんなに「傾聴と共感」が大切だと言われるのでしょう?

答えはシンプルです。

人は、自分の気持ちを理解しようとしてくれる人に安心感を持つから

特に、つらいとき・困っているとき・誰かに話を聞いてほしいとき。

話を「ちゃんと聞いてくれる人」や「自分の感情を否定しない人」がそばにいるだけで、人はホッとします。

つまり、傾聴と共感は、人間関係を築くための“土台”なんですね。


でも、発達障害には難しい…

ここで問題が一つ。

傾聴と共感は、とても重要なのに、発達障害とくにアスペルガー傾向のある人には苦手なことが多いです。私もそうでした。

  • 相手の感情が読みにくい
  • 言外の意味が分かりにくい
  • 人の話を聞いても、つい“自分ごと”にすり替えてしまう

これらは、努力だけではどうにもならない「脳の特性」です。


だからこそ「擬似的な習得」が役に立つ

でも私は、「本当の共感は難しくても、それっぽく振る舞うことはできる」と気づきました。

  • とりあえず話をさえぎらず聞く
  • 話が終わったら要約して返す
  • 気持ちを否定せず「そうなんだね」と声をかける

こうした“型”を身につければ、「この人は話をちゃんと聞いてくれる」と相手に思ってもらえるようになります。

これが、私の考える「擬似的な傾聴と共感」です。


このシリーズで伝えたいこと

このシリーズでは、発達障害の特性をふまえたうえで、傾聴・共感・伝え方をどう工夫すれば人と関わりやすくなるのかを、できるだけわかりやすく解説していきます。

苦手でも、やり方次第でどうにかなる。

そう思えるヒントが、ひとつでも見つかればうれしいです。



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