📘【連載シリーズ:得意と苦手を知る:発達障害でも“生きやすく”なる工夫】
発達障害のある方が「自分らしく働く」ための工夫を、4回にわたってお届けする実践シリーズです。
✅ 第1回:私って何が得意?何が苦手?発達障害と自己理解の話
✅ 第2回:書くだけで見えてくる!自分の得意・苦手を整理する方法
✅ 第3回:周りの声もヒントに。家族や友人に聞いてみよう
✅ 第4回:得意と苦手を伝える力。信頼関係を築く自己開示の技術 ←今ココ
発達障害の特性を持つ私たちが、社会の中で少しでも生きやすくなるためには、自己理解だけでなく「自己開示」がとても大切です。
つまり、自分の得意・苦手を把握したうえで、それを周囲の人にわかりやすく伝える力です。
とはいえ、ただ「私はこれができません」と伝えるだけでは、理解されないどころか、相手にモヤモヤした気持ちを与えてしまうこともあります。
自己開示の目的は「助け合いの関係性」を築くこと
自己開示の目的は、“助けてもらうこと”そのものではなく、お互いに補い合える関係性を築くことです。
だからこそ、発達障害であることを理由に、「私はできないからフォローしてください」という一方通行なスタンスになってしまうと、相手からは“自分勝手な人”と捉えられやすくなります。
「私、発達障害だから、できなくてもしょうがないでしょ?」と開き直るような言い方は、確実に周囲の心を閉ざしてしまいます。
大切なのは、「できないことは助けてほしいけれど、その分、自分にできることではしっかり貢献する」という姿勢を伝えることです。
自己開示のポイントと理由
ここでは、実際に私が自己開示をする際に意識しているポイントを、理由と一緒に紹介します。
① 内容は簡潔明瞭に伝える
理由:
相手にわかってもらいたいという気持ちが強すぎると、つい説明が長くなってしまいがち。でも、社会の中では「簡潔に伝える力」こそが信頼を得る鍵です。
例文:
- 「私は同時に複数の作業をすると混乱してしまいます。作業の優先順位を教えてもらえると助かります。」
- 「マニュアルがある仕事は得意なので、文書作成などがあれば任せてもらえます。」
② 助けてもらったら、感謝の気持ちを形にする
理由:
助けてもらったときの「ありがとう」は、人間関係の潤滑油です。
感謝が伝わらないと、助けた側は「当然と思われている」と感じてしまい、関係が悪化します。
例文:
- 「先日は助けてくれてありがとうございました。おかげでとても助かりました。」
- 「これ、良かったらどうぞ。いつもありがとうの気持ちです。」(小さなお菓子など)
③「できないから助けて」はNG。「助けてほしい理由」と「自分ができること」もセットで伝える
理由:
一方的に助けを求めるのではなく、自分にできることも提示することで、対等な関係を築くことができます。これが信頼を生みます。
例文:
- 「私は咄嗟の対応が苦手なので、急な変更があれば事前に教えてもらえると嬉しいです。その分、計画的に進める作業なら任せてください。」
④ 発達障害という言葉を出すかどうかは慎重に判断する
理由:
残念ながら、「発達障害」という言葉に過剰反応する人もいます。状況や相手を見極めながら、言葉の選び方を工夫することも大切です。
伝え方の工夫例:
- 「私は、複数の情報を同時に処理するのが苦手で、作業に時間がかかることがあります」
- 「目に見えていないことを想像するのが苦手なので、具体的に教えていただけると理解しやすいです」
「できないから助けて」が通じない理由
発達障害があると、どうしても「できないこと」に直面することが多くなります。
でも、「できないから仕方ない」という姿勢で通そうとすると、多くの人は辟易してしまいます。
これは単に冷たいのではなく、「自分ばかりが負担を背負っている」と感じるからです。
支援を受けるには、それなりの「納得感」が必要です。
その納得感を与えるのが、「得意なことでは自分も貢献します」という姿勢と、「助けてもらったら、感謝を伝える」という行動なのです。
まとめ
- 自己開示の目的は「助け合いの関係性」を築くこと。
- 発達障害を免罪符にしてはいけない。一方的に支援を求めると信頼を失う。
- 自己開示の際は、簡潔に・丁寧に・感謝の気持ちを忘れずに。
- 発達障害という言葉を使うかどうかは、相手との関係性や場面によって判断。
私自身、これらのことを試行錯誤しながら実践してきました。そして今も、完璧ではありません。
けれど、少しずつ丁寧に伝え続けることで、理解者は確実に増えていきます。
あなたも、「伝えること」から一歩踏み出してみませんか?
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✅ 第3回:周りの声もヒントに。家族や友人に聞いてみよう
✅ 第4回:得意と苦手を伝える力。信頼関係を築く自己開示の技術 ←今ココ
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